山下公園に神奈川県庁方面から入っていきますとすぐに目に止まるの
がこのインド式の水塔でしょう。山下臨港線プロムナードを赤レンガ倉
庫方面から歩いてきた方でしたらば、下りのスロープにさしかかった辺
りから、この水塔を見つけることができます。
　
　　　

　▲左側：インド式水塔の近影。右側は山下臨港線プロムナードのスロ
　　ープ上から見下ろした水塔

　山下公園そのものが大正12年の関東大震災によって大量に生じた瓦礫
の山を埋めた土地の上に造成された公園ですが、実はこの水塔も大震災
と深い関係があります。
　150年前の開港により横浜には多くの外国人が居留するようになりまし
たが、その中には当然インド人も含まれておりました。そして横浜にも
甚大な被害をもたらした関東大震災によって116人のインド人が被災し、
そのうちの20人余りが亡くなりました。これをきっかけに多くのインド
人が横浜を離れ神戸に移っていきましたが、横浜市は、住宅の手当てを
するなどして、彼らを再び横浜に招くために力を注ぎました。
　このような援助に対する横浜市民への感謝と震災で亡くなった同胞の
慰霊のために、横浜インド商組合から昭和14年にこの水塔が寄贈された
のです。

　

　▲左側：現在は水が出ることのない水塔。右側は天井の様子

　以前はその名の通り、水飲場として使用されておりましたが、鳥の糞
が衛生上好ましくないという理由から、現在は配管が外されてモニュメ
ントとして保存されることになったのだそうです。
　　　　　　
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